ロードバイクのメンテナンスにあたって、トルクレンチがあったらなと思うことがたまにあります。
とくにパワートレイン系のボルト・ナットを触る時は正規のトルクで締め付けておかないと安心できないのと、カーボン製のパーツ周りを触る時にもパキッと言わさないためにも必需品的な工具になっています。
シマノ(https://si.shimano.com/ja/)のマニュアルを見ていると、ほぼ全てのボルト、ナットの適正締め付けトルクが書かれているので導入した暁には使い道満載です(笑)
導入にあたって値段的に安くないのがネックとなり(KTCやTONEなど日本製で迷うことなく信頼できるものは数万円してしまいます)、なかなか購入にまで至らなかったのですが、色々と探してみた結果そこそこ納得できるモノが見つかったのでまとめです(価格は2024年4月現在、税込価格)。
トルクレンチの選び方
トルク値から
トルク測定範囲の選び方としては、無理をせずに使用できる最適なトルク値を使うのが長期的にトルクレンチを使うためのポイントになります。
トルクレンチで測定する最大トルク値から測定範囲の上限値を「測定範囲の上限値=最大トルク値÷70~80%」で求めておくと良いようです。
主なパーツ毎の締め付けトルク
まずは各パーツで必要となるトルク値を知ることで、購入するトルクレンチに求める測定範囲を確認する必要があります。
シマノ(SHIMANO)コンポーネント
あらかじめ少しまとめると、ハンドル周り、ブレーキやディレーラーなどは5〜10Nm、クランクやチェーンリングなどは12〜16Nmでトルク管理します。
デュアルコントロールレバー取り付けナット:6〜8Nm(六角レンチ 5mm)
キャリパーブレーキ取り付けナット:8〜10Nm(六角レンチ 5mm)
ブレーキシュー取り付けユニット:5〜7Nm(六角レンチ 4mm)
ブレーキシュー固定ボルト:1〜1.5Nm(六角レンチ 2mm)
クランク固定ボルト:12〜14Nm(六角レンチ 5mm)
チェーンリング固定ボルト:12〜16Nm(トルクス 30mm)
リアディレーラー取り付けボルト:8〜10Nm(六角レンチ 5mm)
リアディレーラーケーブル固定ボルト:6〜7Nm(六角レンチ 4mm)
カセット(スプロケット)ロックリング:30〜50Nm(専用工具)
以上、シマノのWEBページ(https://si.shimano.com/ja/dm/TORQUE)より記載。
上記はあくまで参考までの記載になりますので、所有されているバイクで使用されているコンポーネントのトルク値をご確認ください。
カーボンパーツ
カーボンパーツについては、各々パーツに表示されているトルク値を確認することになりますが、大まかな目安として調べたところ
ステアリングコラム:〜8Nm
シートポストクランプボルト:〜7Nm
サドル固定ボルト:〜10Nm
といった感じでしょうか。
締め付けトルクからのまとめ
・ハンドル、ブレーキ周りやディレーラーなどのメンテナンスに特化するのであれば、5〜10Nmの締め付けトルクに対応したトルクレンチが必要。できれば余裕を持たせて、測定範囲の上限値が12〜13Nmのモノが良い。
・さらにクランクやチェーンリングもメンテナンスするのであれば12〜16Nmの締め付けトルクに対応したトルクレンチが必要。
・カセット(スプロケット)ロックリングの締め付けには30〜50Nmのトルクに対応している必要がある。
トルクレンチの種類
プレート型
簡易式にはなりますが、比較的価格が安くサイズ的にもコンパクトなので、日常のトルク管理からライド時の携帯用にも良さそうです。
測定上限のトルクは概ね10Nmになりますので、ハンドルやブレーキ周りの整備、シートの調整に活躍可能です。
TOPEAK(トピーク)コンボトルクレンチ
価格:約2,400円
トルク測定範囲:1〜12Nm
サイズ:(約)幅 4.2 × 長さ 12.2 × 高さ 16.7 cm
重量:120g
付属ビット:【5種類】六角レンチ 3、4、5、6mm、トルクスレンチ T25
TOPEAK | トピーク
GORIX(ゴリックス)トルクレンチ 小型
価格:約2,700円
トルク測定範囲:1~10Nm
サイズ:(約)幅 2.6 x 長さ 15 x 高さ 5 cm
重量:80g
付属ビット:【6種類】六角レンチ 3、4、5、6 mm、トルクスレンチ T25、プラスドライバー H2
GORIX(ゴリックス)公式オンラインショップ本店 自転車パーツ
BIKE HAND(バイクハンド)コンパクトトルクレンチ
価格:約3,400円(本記事執筆時はタイムセールで1,800円)
トルク測定範囲:1~10Nm
サイズ:(約)幅 2.5 x 長さ 15.3 x 高さ 3.1 cm
重量:120g程度 (本体57g、ビットセット59g)
付属ビット:【10種類】六角レンチ 2、2.5、3、4、5、6 、8mm、トルクスレンチ T10、T25、プラスドライバー H2
bikehand | 株式会社フタバ
TONE(トネ)トルクビットラチェットセット TBS20
価格:約6,700円
トルク測定範囲:2〜10Nm(トルク精度:2~3Nm ±20% / 3.5~10Nm ±15%)
サイズ:(約)幅 9 x 長さ 14.6 x 高さ 4.2 cm
重量:320g
付属ビット:【16種類】六角レンチ 4、5、6 、8mm、トルクスレンチ T15、T20、T25、T27、T30、T40、プラスドライバー H1、H2、H3、マイナスドライバー 5.5、6、8
その他付属品:ビットアダプター(1/4" 6.35mmソケット用)、樹脂ケース
メーカー保証:初期不良のみ
プレート型でのオススメ
以上の中から価格と携帯性を重視するならGORIXがオススメでしょうか。
タイムセール価格であればBIKEHANDも良さそうです。
番外編(小型軽量級)
プレート型と同様、簡易式にはなりますが、デザイン的にキレイなので、ついコレクションしたくなってしまいそうなシロモノのご紹介(笑)
Lezyne(レザイン)Torque Drive
価格:約7,900円
トルク測定範囲:2〜10Nm
サイズ:(約)幅 7 x 長さ 15.8 x 高さ 3 cm
重量:190g
付属ビット:【11種類】六角レンチ 2、2.5、3、4、5、6 mm、トルクスレンチ T10、T25、T30、プラスドライバー、マイナスドライバー
その他付属品:ソフトシェルキャリングケース
LEZYNEは2007年にアメリカで設立された「エンジニアードデザイン」をブランドコンセプトとするブランドです。
LEZYNE レザイン 公式サイト - diatec ブランドサイト
TOPEAK(トピーク)NANO TORQBAR DX
価格:約10,600円
トルク測定範囲:4、5、6Nm(トルクビット交換)
サイズ:(約)幅 1.6 x 長さ 12 x 高さ 1.6 cm
重量:62g(本体+トルクビット 1個+ツールビット2個収納時)
付属ビット:【11種類】六角レンチ 3、4、5 mm、トルクスレンチ T20、T25、プラスドライバー、マイナスドライバー
その他付属品:ソフトシェルキャリングケース
NANO TORQBAR Xという一文字違いのモデルもあり、そちらはLEZYNEのTorque Driveと同様にトーションバー型で2〜6Nmの測定範囲に対応していますが、デザイン的にはイマイチ心がくすぐられないのは私だけ?
TOPEAKは株式会社マルイ(明治30年創業!)が運営し、30年を超える実績のある自転車用品ブランドです。
TOPEAK | トピーク
プレセット型
様々な製品が販売されており、通常、トルクレンチといえばこの型を思い浮かべる人が多いスタンダードなトルクレンチ。価格もピンキリで、対応するトルク測定範囲も様々ですが、主なところで3つの差込角サイズ(6.35mm、9.5mm、12.7mm)があり、小さなものほど対応するトルク測定範囲も小さくなります。
また、同じ6.35mmの差込角サイズのトルクレンチでもトルクの測定範囲が2〜10Nmのものもあれば、2〜26Nmと広範囲をカバーするものまで色々あります。
一般的にはサイズが大きなものになってきますので、日常のトルク管理用に。中にはTOPEAKのようにライド時の携帯用にも使えるコンパクトなモノも販売されています。
ロードバイクのメンテナンス用としては、概ね20Nmまでカバーしていれば、クランクやチェーンリングなどのメンテナンス時にも活躍可能です。
信頼できるメーカーのモノか、精度検査されていてメーカー保証がしっかりしているモノを選ぶのが吉です。
SK11(エスケー11)プレセット型トルクレンチ STR2-26
価格:約7,600円
トルク測定範囲:2〜26Nm(トルク精度:右回転 ±4%、左回転 ±6%)
最小目盛り:0.2Nm
サイズ:(約)幅 2.4 x 長さ 25 x 高さ 2.4 cm
重量:313g
差込角:6.35mm
ラチェットギア数:72
付属ビット:【なし】
その他付属品:検査成績表、専用ハードケース
SK11は藤原産業株式会社(明治30年創業!)のスタンダードブランドです。
大工道具・電動工具などのDIYツール専門商社 藤原産業株式会社
KTC(京都機械工具)プレセット型トルクレンチ CMPC0152
価格:約28,100円
トルク測定範囲:3〜15Nm(トルク精度:右回転 ±4%、左回転 ±6%)
最小目盛り:0.1Nm
サイズ:(約)幅 2.2 x 長さ 25.2 x 高さ 1 cm
重量:400g
差込角:6.35mm
ラチェットギア数:36
付属ビット:【なし】
その他付属品:樹脂ケース付き
おまけ
・トルクレンチを保管するときはバネの劣化防止のため、ハンドルを一番小さいトルク値(2N・m)にしてから保管する。また、それ以下の数値での保管もバネが変形する恐れがるため避ける。
・ロードバイクのメンテナンスではあまり気にする必要はないかもしれませんが、トルクレンチは基本的に締め付けの仕上げに使用する工具なので、ボルトの締め付け作業に最初から使ってしまうと、負荷をかけ続けることになり、トルク値を正確に計測できなくなる可能性があります。特に高いトルクで締め付ける場合などはある程度締め付けてから、トルクレンチを仕上げで使用するのが良さそうです。